あべのハルカスや近畿日本鉄道など、関西圏を中心に事業を展開している近鉄グループホールディングスの第2四半期決算が発表されました。
大幅な減収減益
決算短信によると、営業利益はマイナス540億円の営業損失、最終的な損益を示す当期純利益は314億円の純損失となっています。
近鉄グループホールディングスも阪急阪神ホールディングスと同様に雇用調整助成金約95億円を営業外収益として組み込んでいます。
主力の運輸、ホテル事業で大幅減収
他社と同様に不動産業はあべのハルカス等休業や竣工物件減少による減収を受けながらも63億円の利益を確保しています。同様に駐輪場管理業など、比較的影響を受けにくいその他事業でも3%増益の8億円となっています。
しかしグループ内では圧倒的な利益をあげ近鉄グループホールディングスを支えていた運輸事業が赤字となった影響で現状不動産事業とその他事業で支えている状況です。
また、同じく安定的な利益を確保していたホテル・レジャー事業も渡航制限などで旅行業で2000億近い減収となり、旅行業のみで231億円の赤字と鉄軌事業以上の赤字幅となってます。
今後の方針
ホテル事業に関しては他社同様、平均稼働率40%の予測としており、鉄軌事業についても収入は前年比15%で推移すると予測されています。
鉄軌事業は利用状況を踏まえた上でのダイヤ変更検討、設備投資の抑制に努めるとしていますが、もし十分に改善しない場合は運賃改正を検討していることが示唆されています。
旅行事業は…
つい先日、近畿日本ツーリストなどを統括するKNT-CTホールディングスがグループ全体の従業員と店舗を3分の1にするという計画を発表したように、かなり苦しい状況にあるのは違いなく人員体制、事務所の縮小とWeb販売の拡充、クラブツーリズムの強化など、体制立て直しが見られます。
ホテル事業では損益分岐点(利益がちょうど±0円になる地点)の引き下げ、主に近郊の利用者をターゲットにするマイクロツーリズムの強化を目指しています。
中長期的に見据えた構造改革
グループ全体の方向性としては外国からの渡航、インバウンドは数年先まで回復が見込めず、売上が大きく落ちたレジャー事業ではGoToキャンペーン利用や国内旅行に注力した展開を行う事を検討している模様です。
また、アフターコロナの新しい生活様式の定着、デジタル技術の躍進など、長期的に見てもグループ全体としては厳しい状況が予測されコロナ後も生き残れる構造改革に取り組んでいる模様です。