大阪メトロ第3軌条路線においては定期検査検査担当などを基にして、大きく分けて中央、谷町、千日前線の森之宮グループと御堂筋、四つ橋線の緑木グループに分けることができました。
グループと言っても公式で扱われている訳では無いようですし、車輌工場が統一された今ではグループもクソもないと思いますが、今でも中央線の20系が緑木車両工場に入る際はグレーのアンテナに取り替えている上に、連結器についても従来のままそれぞれのグループで異なるものを装着しています。
そこで今回は「連結器」の違いを見ていこうと思います。
緑木型連結器
主に緑木車両工場で重要部検査を受けていた御堂筋線と四つ橋線に付いている連結器になります。
連結面上部にスペースが無くてやや非対称な連結器になります。
付いているのは御堂筋線の10系、10A系、新20系、31系。四つ橋線は新20系になります。
今の大阪メトロは貫通、固定編成が基本なので、連結器を使う場面は故障とか救援の異常時もしくは訓練時のみ。
勿論ですが直通する北大阪急行の車両も同じ連結器を装備しています。
森之宮型連結器
主に森之宮車両工場で重要部検査を受けていた中央線、谷町線、千日前線に付いている連結器になります。
上部に配管等はありませんが、連結面が上下対称の形になっています。谷町線、中央線、千日前線に所属する車両全てと近鉄けいはんな線の車両に装備されています。
50系の連結器
森之宮検車場に保存されている50系には、最後に活躍していたのが千日前線のため森之宮型の連結器を装備しています。こちらは上部に直通管と思われる配管があります。因みに50系の連結器は突放試験のデータを基に軽量化したもなのだとか。
30系の連結器
3008号車は引退時は3042号車として中央線で活躍していました。連結器は50系とほぼ同じ物が装備されています。
源流は森之宮型??
下で簡単な流れを述べますがレイルロード(2016)によると、森之宮グループにとっては久しぶりの新車になった新30系(厳密には下記の通り7000-8000形、3008編成がいましたが転属しています)を導入するにあたって連結器は50系用のものを使用したと記されています。
また、50系の連結器は1000型以降の車輛との互換性を見込んで設計されており、「源流、従来型」というのであれば森之宮型なのかもしれません。50系はこの互換性を活かして御堂筋線において1000型を使った増結運用を行っていた記録があります。
緑木型の初登場は7000-8000形
30系の前身でもある7000-800形は新しい路線、工場である中央、谷町線に投入され既存路線とは異なる新しい規格で設計された車両です。つまり当時現役バリバリだった御堂筋線、四つ橋線の50系との連結を考慮しなくても良い訳で、連結器も新しい形状のものが採用されたものと思われます。そしてその7000-8000形に取り付けられたのが緑木型連結器です。
しかし大阪万博の開催の決定に伴って改良版の30系の御堂筋線への大量投入、森之宮に所属していた7000-8000形も同様に御堂筋線へ順次転属しました。御堂筋線において、投入最中はブレーキ方式、連結器の異なる50系と共存する訳ですが、この時は少数派の車種にアダプターを車内に置いて対応したみたいです。
御堂筋線を30系で統一する事は「ツルの一声」で決まったため、連結をわざわざ交換するという考えは無かったと思われます。
50系帝国への新30系投入
昭和43年ごろから7000-8000型&30系と50系はほぼ入れ替わる形で森之宮車両工場には50系が集結することになりました。そして昭和51年には50系94ユニット全車両が森之宮車両工場に集結するようになりました。
次に、30系が御堂筋線、四つ橋線以外に投入されたのは昭和51年竣工の谷町線向け新30系からになります。
新30系には50系に合わせた連結器が取り付けられました。勿論その後御堂筋線から中央線や千日前線に転属した従来の30系も同じものに付け替えられています。
昭和52年の50系配置表を見ると全38編成、谷町線だけでも17編成の所属で、7編成の為に連結器を変えるよりかは….といった考えなのかもしれませんね。因みに50系については平成6年まで、新30系は2013年頃まで新20系などに混ざって活躍することになります。
この事から森之宮車両工場で検査を受ける路線は所属している車両に対応する為、つまり異常時けん引出来るようにする為なのか、50系とほぼ同じ形状の連結器を脈々と受け継いでいるみたいですね。
しかしこれまでのお話を全て水の泡にするかの如く、昭和48年に登場した本来は谷町線向けの旧20系(10系の前身)は緑木型連結器を装備して登場しています。不思議ですよねぇ、
一応レイルロードの本等による30系や50系の資料を基にして書いてみました。 しかし連結器に関する直接的な記述は少なく車輛動向などからある程度推測が必要であり、確固たる文献をお持ちの方がおられましたら是非ご教授頂ければ幸いです、、
参考文献
(2014)「大阪市交通局5000ー車両アルバム.17ー」レイルロード
(2016)「大阪市交通局30系Vol.1ー車両アルバム.22ー」レイルロード
(2016)「大阪市交通局30系Vol.2ー車両アルバム.24ー」レイルロード
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