世界中のゲーマーの中で鳴り響く配管工の地上BGM…
そんな任天堂ですが、なんと無借金経営なんだそうです。
2021年3月末の貸借対照表
有価証券報告書より、2021年3月末の貸借対照表を見てみました。
※貸借対照表・・・会社の財政状態を表す表。因みに業績を表すのが損益計算書。
貸借対照表は損益計算書とは異なり一時点での状態を示しています。
。。。
色々と突っ込みを入れたいところですが、一般に借金と言われるのが短期借入金や長期借入金など。他にも社債などがあります。
短期借入金と長期借入金は1年以内に返済期日があるかどうかを基準として決定されます。
…その借入金ですが、見当たりませんね。
それより純資産と流動資産の比率が恐ろしいことになっていますね。一方負債、特に固定負債に至ってはかなり少額の様に思えます。
なお純資産の部において利益剰余金と純資産合計額が合いませんが、これは自己株式及び為替換算調整額を省略したために発生したものです。
ちょっと数字が大きいのでグラフで見てみましょう。
グラフで見る任天堂の財務構成
資産の方は流動資産だけで82.6%を占めており、そのほとんどが現金及び預金。この構成はコロプラなどでも見られますよね。
ただ任天堂については2021年3月期の質疑応答にて一つ回答がなされており、そのカンファレンスコール(2021)内、古川社長によると”娯楽事業は巨額投資が必要であり、かつハイリスクな事業のため複数回のチャレンジ失敗にも耐えられるような財務基盤の構築を目的としている”のだそう。任天堂自身もこれまでに様々な苦難を乗り越えてきた過去がある故の備えでしょうか。
一方、負債及び純資産の部はこんなカンジ
こんなのゲームのA列車で行こう以外で見たことないのですが、純資産の76.6%という驚異的な数字。勿論内訳は2兆程度を利益剰余金が占めています。
固定負債に至っては存在感が皆無に等しいですね。
流動負債に関しては買掛金などは含まれるのでどうしても目立ってしまうのですが、それにしても項目に短期借入金は計上されていないという凄さ。
なぜ借金をしない?
なぜ借金をしないのか、これに関しては先述のカンファレンスコールが答えではないでしょうか。
なお任天堂の最近の売上推移はこんなカンジ。2016年度と2020年度の売上高の差は1兆円を超えているのがわかります。
君島社長が週刊東洋経済のインタビュー(2017)において発言しましたが、「この業界は天国か、地獄か」というのがよくわかります。
無借金にメリットはあるのか
よく無借金経営についての議論が繰り広げられるのですが、私はわかりません。
ここまで書いておきながら超無責任ですが、どちらがいいのかに関しては私にもわかりません。
ただ無借金だとそもそも利息分を払うという義務はありませんし、金融機関が経営に介入するのを防ぐことができます。
しかしメリットばかりではないみたいで、例えばそもそも実績(お付き合い)が無いという点と、適度な負債には節税効果と企業価値の向上効果があるのですが(この理論はコーポレートファイナンスの域です)これが期待できないというデメリットがあります。
投資活動によるキャッシュフロー、所謂借入の是非に関しては結局のところ企業の戦略次第だと思います。
個人的には自己資金で回せるのであればそれに越したことはないとは思っています。
参考文献
任天堂株式会社(2021) 2021年3月期 決算説明会カンファレンスコール質疑応答(要旨)
週刊東洋経済(2017) 「この業界は天国か地獄2017年11月」25日号」
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